2026/07/29 05:14
移住して間もない頃の私は、まさかこの出会いが何年後かに商品づくりにつながるとは想像もしていませんでした。
ニュージーランドへ移住して間もない頃、私はオークランドから車で約2時間半ほどの場所にある、Te Puke(テ・プケ)という町を訪れました。
目的は、一人のマオリハーブセラピストに会うことでした。
彼女のセラピールームは、とても静かで穏やかな空気に包まれていました。ご自身で壁もオーガニックのペンキを使って、塗られたとのこと。一歩足を踏み入れただけで、時間の流れがゆっくりになるような場所でした。
庭へ案内してもらうと、そこにはマヌカだけではなく、カワカワやクマラホウなど、ニュージーランド固有の植物がたくさん育てられていました。
どれもマオリの人々が古くから薬草として大切に受け継いできた植物ばかり。私は一つひとつの植物の名前や効能、どのように暮らしの中で使われてきたのかを夢中で聞きました。

今思えば、あの日が私にとって、マオリハーブの世界への扉が開いた瞬間だったのだと思います。
そして、その日初めて出会ったのが、彼女の手作りの「マヌカティンクチャー」でした。
風邪のひき始めや喉の違和感、体調を崩しそうな時など、暮らしのさまざまな場面で活躍する、ニュージーランドでは昔から親しまれてきた自然の恵みです。
私自身も生活の中で使うようになり、いつしかニュージーランドでの暮らしには欠かせない存在になっていました。
でも…。
正直に言うと、とにかく苦い。
そして、驚くほどまずい(笑)。
「これは体に良いから飲めるのであって、日本ではなかなか続けるのは難しいかもしれない。」
そんなことを思ったのを今でも覚えています。
だからこそ、「マヌカの持つ力はそのままに、もっと美味しく、もっと気軽に毎日取り入れられる形で日本の皆さんへ届けられないだろうか。」
そんな小さな夢が、心の中に生まれました。
忙しい毎日の中で、その夢はいったん心の奥にしまわれることになります。
けれど、不思議なことに、その想いだけは何年経っても消えることはありませんでした。
そして時を経て、最初に出会ったセラピストの想いを受け継いだ別のマオリハーブセラピストとのご縁が生まれます。
そこから、Cacaraの開発が本格的に始まりました。
最初のプロトタイプは完成しましたが、私たちは納得できませんでした。
「これが本当に届けたいものなのだろうか。」
何度も話し合い、一度完成したものをすべて白紙に戻し、最初から作り直すことを決めました。
マヌカらしさを残しながら、毎日続けられる美味しさとのバランスを探す。
想像以上に難しい挑戦でした。
試行錯誤を重ね、ようやく今の3種類が完成するまで、およそ2年の歳月がかかりました。
そういえば、今でも忘れられない思い出があります。
彼女の庭には一匹の野良猫が毎日のように遊びに来ていました。
その猫のお目当ては、お水に混ぜた動物用のハーブエキス。
彼女がその子のために調合したエキス入りのお水を、毎日飲みに来るのだそうです。
そして、その猫は野良猫とは思えないほど、驚くほどツヤツヤで美しい毛並みをしていました。
「動物は自分に必要なものをちゃんと知っているのよ。」
彼女がそう微笑みながら話してくれた言葉も、今でも心に残っています。

ニュージーランドの豊かな自然と、マオリの人々が何世代にもわたって受け継いできた植物の知恵。
その知恵を、日本の暮らしの中でも無理なく、心地よく取り入れていただける形にしたい。
それが、Cacaraに込めた一番最初の想いでした。
この一本一本には、たくさんの人とのご縁と、長い時間をかけて育んできた物語が詰まっています。
これからのブログでは、マヌカのこと、マオリハーブのこと、そしてCacaraが大切にしている想いを、少しずつお話ししていけたらと思っています。

